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自由発想・自由デザインの自作自転車キット
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pipe1.jpg物性のひとつに疲労強度というものがある。これは破壊するまでに材料が静的引張強度以下の周期的負荷のストレスにどれだけ耐えるかという物性である。
アルミニウム系合金は鉄系合金に比べ、この疲れ強度が非常に小さい。鉄系合金には無限回数加えられても破壊が起きないという負荷レベルが存在する、これを疲れ強さと呼ぶが、アルミニウム系合金には疲れ強さがほとんどの存在しない。

つまり、どんなに小さな負荷でも何度も繰り返し荷重が加われば、アルミチューブのフレームはいつか破壊する。

img_0861.jpgこれは約10年経過した時発生した典型的な応力腐食割れの実例です、走行中に発生すると大変なことになります。
アルミニウムでフレームを作る際はこのアルミニウム最大の欠点とも言える疲れ強度の低さをいかに設計段階でカバーできるかが、フレーム設計の鍵である。

なるべく、アルミニウムの部位に応力がかからないように設計する。この考えに基づいてリトル・ダイアモンド・フレームは考案されている。

 フレームはパイプを組み合わせたラーメン構造を基本にているのが一般的だ。では、このパイプに応力がなるべくかからないようにするためにはどうしたらよいだろうか。その答えがこれまで市販されているものはパイプを太くすることで解決している。リトル・ダイアモンド・フレームでは、ブリッジというチタンのばね特性を生かしたパイプで応力を緩和させる方式を採用している。撓むのはこの部分が中心でアルミニウムの部分は撓んだり変形したりすることが無視できるというアイデアである。                      
応力を発生させる要因は、負荷として引張と圧縮、せん断、曲げ、ねじれなどがある。パイプは太くすることで曲げとねじれに強くなる。このうち最もフレームパイプにかかると思われる曲げについて検討する。

  図はパイプの左側を壁に固定した状態でパイプの右端に質量(Μ)のおもりをぶら下げたときの図である。建築などの一般例として片持ち梁というものがある。詳細な計算は力学の初歩の教科書に掲載されている。
フレームに興味がある読者は曲げ応力の場合、パイプ内の最大応力(σ)は断面係数(Ζ)と曲げモーメント(L)によって簡単に求めることができる。その関係は次のようになる。

σ=Μ/Ζ

パイプの断面係数(Ζ)は
Ζ=π(D^3-d^3)/32
したがって、最大応力(σ)
σ=32/(l-x) Μg/π(D^3-d^3)
パイプの肉厚(t)は一定とすると、内径(d)は外径(D)と肉厚(t)によって表される、

σ=16(l-x) Μg/πt(3D^2-6Dt+4t^2)
∵ d=D-2t
となる。パイプの肉厚(t)がパイプの外径(D)に比べて、十分に小さいときは

σ=16(l-x) Μg/3πtD^2
で近似される。
上式の最大応力(σ)に許容応力(τ)を代入して、変形すると、
Μ=3πtD^2/16(l-x)g
つまり、肉厚そのままで外径を2倍にすると重量は2倍だが、そのパイプは4の重量に耐え得る。

疲労強度の低いアルミニウムの負荷を少し軽減するという手法である。「パイプの強さは外径の3乗に比例する」という説もある。
パイプの強さとは上記の例ではパイプの強さを耐えられる静的荷重の大きさで表した。しかし、ここでもうひとつ、パイプの曲がりにくさを強さとして考えてみる。
右端におもりをぶら下げることでパイプは当然のことながら、曲がる。パイプを曲げると上側が伸びて、下側が縮む。そのため、真中あたりに伸びも縮みもしない中層がある。この中層の微小長さ(dx)が曲率の中心(C)を見込む角を(dθ)とし、その曲率半径を(ρ)とすると、中層から (Ζ) の距離にある断面 (dS) の主軸に対する平行層のひずみ(ε)は、
ε=(ρ+Ζ)dθ-ρdθ/ρdθ=Ζ/ρ
となる。ただし、上式では(dθ)が微小角度であるから、sin(dθ)=dθという近似で、この層に加わる応力を(dF/dS)とすると、ヤング率(E:応力とひずみの関係)の定義から、
E=dF/dS)/(Ζ/ρ), ∴ dF= (E/ρ)ΖdS
となる。曲げモーメント(L)は微小断面(dS)にかかる力(dF)を面積(S)で積分するという形をとる。
また、同時に曲げモーメント(L)は巨視的におもりまでの距離(l-x)とおもりによる荷重(Mg)の外積としても表されることから次式が得られる。
L=EI/ρ=(l-x)Μg
ここで(I)は断面二次モーメントと呼ばれる値で上述の断面係数(Ζ)はこの断面二次モーメント(I)をその軸である中層と断面の交線から断面のもっとも遠い点までの距離((D-d)/2)で割った値である。パイプの長さを(l)、端からの距離(x)に位置する微小長さ(dx)に対する右端の微小降下を(de)とおく。微小長さ(dx)が曲率半径(ρ)で微小角度(dθ)曲げられたために微小降下(de)が生じたとすれば、次式が得られる。
de=(l-x)dθ=(l-x)/(dx/ρ)
∴ρ=(l-x)/ (dx/ de)
この二式より測定がほぼ不可能な曲率半径(ρ)を消去し、次式を得る。
de=Μg/EI(l-x)^2 dx
したがって、一般解(e)は、
e=Μgl^3/3EI
となる。ここで断面二次モーメント(I)はパイプの場合、回転座標系で積分すること、その値は次のようになる。
I=π(D^4-d^4)/64
これを一般解(e)の式に代入すると次式
e=64Μgl^3/3πE(D^4-d^4)
同様に肉厚(t)を一定、かつパイプの肉厚(t)が外径(D)に比べて、十分に小さいとすると、上式は
e=8Μgl^3/3πEtD^3
肉厚が同じで外径を2倍にすると重量は2倍だが、そのパイプの曲がりにくさは8倍になる。

以上をまとめるとパイプは太くすることで2つの効果を得ることができる。 1つ目はパイプ内に発生する最大応力を低減する効果、 2つ目はパイプの曲がりにくさを上げる効果である。このような考え方で、これまでのアルミフレームは設計されているものと認められる。

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